夕暮れの階段下。

校舎は橙色に染められ、あちこちから部活に励む生徒の声がする。

それはそんな中の一瞬の出来事だった…

僕はクラブハウスへ急ぐ途中に、不意に聞き慣れた声に呼び止められて階段下の物置の前に足を進める。

「こんな所でどうしたんだい、ルルーシュ?」

しかし、ルルーシュは問掛けに答える様子は無く…

不審に思い、近付いた瞬間に名前を呼ばれた。

「スザク…」

囁かれるぐらい微かな声。

そして、ルルーシュに名前が呼ばれたと思ったら、唇に暖かい感触があたっていた。

子どもの頃に食べた綿菓子よりも弾力があり、キャラメルよりも甘い香り。

体もいつの間にか自分が壁側にされて、逃げ場を失っている。

それと同時にキャラメルは不意にビターチョコレートへと変化した。

「んっ…あっ……る、ルルーシュ!?」

抵抗し、首を左右に降るが、ルルーシュの掌に頬を捕えられてしまい、動けなくされてしまう。

自分の腕はと言うと、壁に付いており、ずりさがりそうな自分の体を支えるのに必死だった。

「スザク、オレを満たして……」

切なげに、消え入りそうなルルーシュの声は、それでもしっかりとスザクの耳に届く。

「み、満たすって…どうしたら…うぐっ…!」

再度なる口付け。

完全に塞がれた口は酸素を求めるが叶わない。

「ずっと側に居ろ」

ルルーシュには珍しい自己本意な請求。

「あぁ、居るよ……」

それだけでルルーシュの気が済むなら、僕はそう思い言葉を差し出した…

互いに約束出来ないと分かりながらもする約束。

それでルルーシュが満たされるならば、いくらでもしてあげるよ…

そう、いくらでも…

=END=


**あとがき**
ルル絶対待ち伏せしてたよね…(苦笑)
06.12.16